『桜華』

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『恋華』 この手を伸ばせば 届いたのだろうか…? 叫べば、あの時 君に届いたのだろうか? この恋が、華のように散り ゆくならば俺は…、 君に…今伝えたい。 「ありがとう、愛してくれ て俺は、君に何も出来なか ったけど俺も君を…愛して いたよ。」 君が、俺の姿を見て涙を流す。 「今日が見納めだと…寂し い…かな。」 「高槻さん…!!……生き てください。私の血を…。 」 「やだ…。俺は、まだ君の 血を…飲みた…くない。」 君は、唇を強く噛み締める と、次の瞬間、俺の顔に顔 を近づけ口づけをする。 俺は、驚き口を開くとそれと同時に口から血が入 ってくる。 「君は、俺をいつまでも離 してくれないの?」 「はい…。高槻さんが死ぬ まで離しません。」 「俺が血を啜る化け物でも …?」 「はい。高槻さんは、いつ も悲しい顔をするから…尚 更、ほっとけないです。」 気付くと、頬から涙が垂れ ていて君の言葉にホッとし ている自分がいる。 だが、自分から君を離した いと思う自分もいる。 君がずっと俺の側にいれば 俺は、もう君を離せなくな ってしまう。 「君は…、馬鹿だよねぇ。」 天井を見ながら、笑いそう 呟くと、彼女は怒るわけで もなく優しい表情で俺の血 まみれになった手に自分の 手を重ねる。 「それは、私は馬鹿かもしれませんが、吸血鬼さんに助けられたのは始めてでした。」 「そうかな…。」 『Link』より
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