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桃太郎と吉備団子を食べてから、俺達は近くの村までやってきて、そこにあった飲食店らしき所で食事をとっていた。
「それにしても不思議だ……」
この世界に来て色々と思うところがあるが、1番疑問に思う事がどうしても頭から離れず、俺はいつの間にかそう口にしていた。
「…?
衛様、どうかなさいましたか?」
疑問に思った桃太郎が、首を傾げながら食事の手を止めるので、俺は僅かに頷きながら質問に答える。
「いやな…
俺の世界にさ、桃太郎っていうお話しがあるんだけど…」
「なんと…!
この私と同じ名ではありませんか!」
「名前だけじゃないよ…
その物語りの主人公の目的も鬼退治なんだ。
それに、やっぱり親から吉備団子も貰ってる…」
「………………」
桃太郎は驚いているのか、言葉を失っているようだが、俺はとまらず話しを続けた。
「ただ、唯一違うのが性別……」
「性別…?」
「あぁ。
俺の世界の桃太郎は男なんだ。
桃みたいに女の子じゃない」
「そうなのですかっ!?
というか衛様、桃というのは…?」
「ん?
君のあだ名だよ。
桃太郎って呼ぶと、どうしても俺の世界の桃太郎と被るからね」
ま、本当はそんな事じゃなくて、単に桃太郎っていうのが、男の名前にしか聞こえないからだけど。
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