旅立ち

2/13
138人が本棚に入れています
本棚に追加
/127ページ
桃太郎と吉備団子を食べてから、俺達は近くの村までやってきて、そこにあった飲食店らしき所で食事をとっていた。 「それにしても不思議だ……」 この世界に来て色々と思うところがあるが、1番疑問に思う事がどうしても頭から離れず、俺はいつの間にかそう口にしていた。 「…? 衛様、どうかなさいましたか?」 疑問に思った桃太郎が、首を傾げながら食事の手を止めるので、俺は僅かに頷きながら質問に答える。 「いやな… 俺の世界にさ、桃太郎っていうお話しがあるんだけど…」 「なんと…! この私と同じ名ではありませんか!」 「名前だけじゃないよ… その物語りの主人公の目的も鬼退治なんだ。 それに、やっぱり親から吉備団子も貰ってる…」 「………………」 桃太郎は驚いているのか、言葉を失っているようだが、俺はとまらず話しを続けた。 「ただ、唯一違うのが性別……」 「性別…?」 「あぁ。 俺の世界の桃太郎は男なんだ。 桃みたいに女の子じゃない」 「そうなのですかっ!? というか衛様、桃というのは…?」 「ん? 君のあだ名だよ。 桃太郎って呼ぶと、どうしても俺の世界の桃太郎と被るからね」 ま、本当はそんな事じゃなくて、単に桃太郎っていうのが、男の名前にしか聞こえないからだけど。
/127ページ

最初のコメントを投稿しよう!