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僕は、僕はただ君の笑顔が見たかったんだ。
「ゆうちゃん!」
夢の中でも微笑む君はやっぱり可愛いくて、思わず抱きしめる。
「のく!」
「へへっ、ゆうちゃん。くすぐったいです~」
君の細い腰が折れてしまうぐらいぎゅうぎゅうと抱きしめる。
俺の首に腕を回してすりすりと頬をすりつけてくる。
愛しくて抱きしめ返すと、その腕はするりとすり抜けてしまった。
「…のく?」
「ゆうちゃん、ごめんね…もうさよならなんです。」
ばいばい、と言って消えて行ったのく。
突然の事過ぎて意味の分からない俺は暫くそこにつっ立っていた。
窓から差し込む光を見てやっと分かった。
夢だったんだ…。
俺は背中にべっとり汗をかいていた。
ちょー寝起きわりぃ…。
取りあえず夢だった事にほっとした俺は仕事の準備に取り掛かる。
今日の仕事は楽しみだ。
なんたって今日は君にあえる貴重な1日なんだから!
それが夢じゃないと分かったのはその日の収録だった。
「ゆうちゃん…僕、もう一緒にいれないんです。」
嗚呼、君のいない未来に幸せなどあるのでしょうか。
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