君のいない未来に幸せなどあるのでしょうか(02)

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二週間に一度のクイズ番組の収録 何時ものようにさまざまな芸能人が俺の楽屋に挨拶にくる。 コンコンッ、 「…どうぞ」 「紳助さん、」 いつもなら笑顔いっぱいにノックもせず飛び込んでくる上地。 「なんや上地、どうした…、」 「お願いです!のく…、直樹を助けて…!」 まるで神にでもすがるように俺の服の裾を引っ張り俺を見上げる上地。 いつも人を頼らないこいつが、こんなに人を頼るのを初めて見た。 「直樹だけで良いんだ! 俺はどうなっても良いから…!」 ぼろぼろと涙を流しながら俺に土下座をする上地。 あーあ、女の子にモテモテの上地ゆーすけが男一人の為にこんなになっとる。 …こいつがこんなに泣いているのは初めて見た。 俺もこの話を知らない訳ではなかった。 実際聞いてもいたし、見ていれば分かる。 だからこそ、言った。 「お前、そんなんで野久保が喜ぶと思とんのか。」 俺がそう言うと上地は黙り込んだ 俺は酷い人を演じ続ける。
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