終焉という名の始まり

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するとその瞬間私の手元に淡い光が集まり、次第に形を成していく。 まるで純白の銀世界のように輝く両刃に、無駄な装飾など一切ない柄。 刃の根本には我がガーディアン家の家門が彫られ、この戦場とは似ても似つかない清廉な雰囲気を醸しだしている。 『とりあえず、まずは浄化するとしよう。』 この爛れたような空気の中で、聖なる一陣の風を――― ゴブリンの周りにいる魔物たちに向かって、距離があるにも関わらず私は剣を虚空に薙ぐ。 普通に考えれば、何の意味もない行動。 しかしこのブレイブならば、意味のある大きな行動となる。 『消え去れっ!』 その叫びと同時に、ブレイブから黄金の刃が飛翔する。 その美しくも残酷な黄金の光は、瞬く間に魔物たちを飲み込んでいった。 後に残るのは、どこか清々しい小春日のような柔らかな空気のみ。 『うん、これで少しは爽やかになったかな。』 悪者顔負けの傲慢な笑みを浮かべながら、ゆっくりと視線をゴブリンに向ける。 『私からの挨拶、気にいってもらえたかな?』 相変わらずケタケタと笑みを零すゴブリンに、焦りのようなものはない。 .
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