プロローグ

2/6
16029人が本棚に入れています
本棚に追加
/619ページ
燃え盛る炎に、纏わり付く熱風。 そんな風に混じる、かぎなれた鉄の臭い。 そして、耳にこびりつく怒声や悲鳴。 そう、それはまるで地獄のような光景だった。 『おい―――状況はどうなっている?』 『はっ!』 阿鼻叫喚の響く中心に、仁王立ちする人物が叫ぶ。 もとは白銀に輝いていた鎧も、浴び続ける返り血によって赤黒く変色していた。 そんな人物のはきはきした声に応えるように、同じく鎧に身を包んだ人物が駆け寄ってくる。 『報告しますっ! 伝令兵によると、敵の数は約10万。 先程前線を破られたため、こちらの兵力は約7万に減りました。』 『ちっ―――早くもやられたか……』 その報告を苦々しい表情で聞きながら、唇を噛む。 『それで、敵―――魔物の動きは?』 『前線を突破した勢いそのままに、こちらへ突っ込んできていますっ!』 .
/619ページ

最初のコメントを投稿しよう!