プロローグ

3/6
16029人が本棚に入れています
本棚に追加
/619ページ
どこか予想していた報告の内容に、その人物はさらに表情を歪める。 『そうか……』 『総帥―――どうしますか?』 その場に膝をつき、指示を仰ぐ兵士。 そんな兵士の横を難しい表情のまま通りすぎ、おもむろに全体を覆っていた兜をとった。 その瞬間、艶やかな金髪が風に揺れる。 『今すぐ、全隊長を集めろ。』 『はっ!』 深い海のような青い瞳に射抜かれ、兵士は慌てた様子で陣に走っていった。 『さて―――つべこべ言ってられない状況になったな……』 緩く巻いた髪をかきあげ、そっと視線を落とす。 そこには先程までの刺々しい緊張はなく、どこか憂いを含むものだった。 『…………』 そっと首筋に手を持っていき、なにやら鎧の中からチェーンを引っ張り出す。 そして出てきたロケットを見つめると、そっと開いてみた。 .
/619ページ

最初のコメントを投稿しよう!