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というよりも、ぶっちゃけ考えるのが嫌になった。
まぁただ単に、こんな血生臭く日常とはかけはなれた環境である戦場で、考えこむ暇がなかっただけというのもあるが。
私は屍としてきた魔物たちの血で切れ味の悪くなった剣で向かってきた敵を素早い動きで突き刺し、そのままさっさと剣を手放す。
普通に市場に出回るような量産品よりは幾分いい値段の剣ではあったが、別に惜しいとは思わない。
『私には、こいつがいるからな……』
そう呟くと同時に、一気に駆け出す。
もちろんただ一点、あの醜いゴブリンに向かって。
『こいっ……“ブレイブ”!』
長年の相棒の名前を叫び、何もない場所に右手を伸ばす。
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