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それどころか周りの魔物たちを消し飛ばされたというのに、まるで壊れた玩具のように笑い続けているのだ。
その姿に、僅かながら戦慄が走る。
私は直ぐさま表情を厳しいものに変え、笑い続けるゴブリンに剣先を向ける。
『何故だか、昔から嫌な予感というものは当たるんだ。』
そう言うと同時に、私は一気に距離を詰める。
そしてゴブリンを自分の間合いの中に入れると、冷めた視線で見下ろしながら剣を振り上げた。
『お前を野放しにしておくと、後々面倒な感じがする。
危険な芽は、早々に刈り取ったほうがいいだろう?』
そう言葉を紡ぐと同時に、私は躊躇なく剣を振り下ろす。
しかしその瞬間ゴブリンはあの気味の悪い笑いを止め、驚くほど俊敏な動きで剣を避けたのだ。
『いい動きだ。
そうでないと、狩り甲斐がない。』
まさか避けれるとは予想していなかったが、攻撃を一撃で終わらせるつもりはない。
私はそのまま剣を横に振り、逃げるゴブリンを追撃する。
『逃げるばかりでは、何にもならないぞ?』
まるで蝶のように剣を避けるゴブリンに舌打ちしつつ、私はさらにスピードを上げる。
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