終焉という名の始まり

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突きや払いといった剣だけの攻撃に加え、蹴りなどの体術も織り交ぜる。 しかしその一つひとつの攻撃を最小限の動きで避けながらも、依然として迎撃する気配はない。 『なめているのか……?』 まるでその程度の腕かと馬鹿にされているように感じ、自分でも気付かぬうちに苛立ちが募っていく。 眉間にはくっきりと深いしわが寄り、些か殺気の量が増えた。 こんな姿を仲間が見たら、確実に他人のふりをするか脱兎の如く逃げ出しそうである。 『いい加減に……しろっ!!』 全体重を剣に乗せ、一気に振り切る。 しかしゴブリンはその一撃を避けるために大きく後ろに跳び、少し離れた先にある岩に着地した。 互いの間に広がる荒野が、風にさらわれて砂を巻き上げる。 『ちょこまかと……気付いていないとでも思っているのか?』 剣先を真っすぐゴブリンに向けながら、私は口元を歪める。 今のこの顔だけなら、その辺の悪役よりもあくどい顔である自信がある。 .
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