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朝、目覚めればいつものように美月が食事を用意して待っていた。妙に、こちらを見てニコニコしている。
「なんだ、朝から気持ち悪い。」
「だって、秋人、昨日私をベットまで運んでくれたでしょ?ありがと。」
「別に、風邪でもひかれて大事な家政婦が働かないとこまるからな。」
「大事だって、思ってくれるんだぁ。」
「…便利な、家政婦だからな。」
フィっと、秋人は横を向く。照れた横顔が、少しあかくなっていた。
スーツに着替え、眼鏡をかけるといつものように仕事へ向かおうとしたのだが…。美月が、後から付いてくる。
「…なんなんだ?」
「あ、袖のボタン取れそう。くっつけてあげるよ?」
「そんなことなら、さっさと言え。」
「だって、約束だったでしょ?呼ぶまで、話しかけるなって。」
秋人は、美月の顔を見る。そういえば、あの約束を律儀に守ってたな。
「その約束ヤメだ。」
「え?!」
「不便、だしな。」
「ホントに?ありがと、秋人!」
「ただし、あんまりウルサイようなら出ていってもらうぞ。」
「わかった。じゃ、ちょっと待ってて。」
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