序章『出会いと幽霊は突然に』

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「此処か……」  8月の東京、しかも13時30分と言えば、地球温暖化だの、ヒートアイランドだので日本で最もクソ暑い時。  それが避暑地ならまだいい。むしろ大歓迎。  だが……煩い蝉の鳴き声の嵐と、臭い温室効果ガスをガンガン吐き出す車が行き交う通りを歩くのが楽しいってヤツは、残念ながら病院に行く必要がある。と、断言できる。  炎天下の中一時間半も蜃気楼が揺らめくサハラ砂漠より厳しい大都会を歩きようやく、目的地を発見する事が出来た。  改めて手に有るA4サイズのチラシに目を落とす。 『貴方の身近にウザい幽霊居ませんか? 居るなら殺して差し上げます。 ※料金応相談 ~~~~~~~~~by魂斃党』  店名はアレで“コンペイトウ”と読むらしい。  既に名前からヤル気が感じられない。  ツッコミどこか満載だが、熱くて死にそうなので一個だけ。  幽霊殺します。って……専門知識は一切無いが、一般的見解からして幽霊とは既に死んでいる筈なのでは!  しかし。溺れる者は藁をも掴む。  今の為にあるような諺である。まったくもって感心する。  目の前に有るのは、大通りの喧騒が嘘みたいに無い裏路地に佇む築20年は経ってそうな、所々に年代……ぶっちゃけボロさが滲み出てる3階建てのオフィスビル。  一応ここがチラシに書いてある通りの住所。    image=344142546.jpg
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