全田中殺戮計画

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 全国の田中は迫害されていた。中田た田仲は迫害の対象にならず、田中だけが迫害の標的になった。  最初に全田中殺戮計画が始まったのは2013年も終わり頃、のクリスマスあたりから。  一人の体格の良い男が、隣人の田中を殺した。  男は自分の犯行が警察に見つかるのを恐れ、殺した隣人の田中をバラバラにしてトイレに流した。  それでも不安は消えない。むしろ男の不安は大きくなるばかりだった。 (もしかしたら、全国の田中が同胞を殺した俺に仇討ちするかもしれない……)  質素で薄暗い自分の部屋で、男は一人、恐怖に身を縮こませ、あれやこれやと考えを巡らした。 (俺が隣人の田中を殺したことはすぐにわからないにしても、いなくなったことはすぐにわかる。そうなれば全国の田中は彼を探そうと躍起になるだろう。様々な情報網、権力を駆使してくるかもしれない。そうしたら隣人の俺がまず疑われるだろう。身近なところから調べるはずだ。もしそうならば……)
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