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「アリスッ!」
アリスが次の気配に向かう前に、何とか間に合った。
見た目スーツを着た普通のサラリーマンに見える中年男の背後に回り込み、アリスが首を絞め落とした所だった。
ただ、普通のサラリーマンは鞄の代わりにサプレッサー付きのサブマシンガンなんて持っていないだろう。
「あ、神成。あとちょっとだから待っててよ」
軽い……洗濯物を干し終わるまで待っててと言わんばかりの軽さだ。
アリスが腕を離すと、サラリーマン風の男は人形みたいにその場に崩れ落ちた。アリスの足元には他にも三人ばかり似たような連中が転がっていた。
しゃがみ込んで倒れた連中を確認したけど、全員息はしている。
取り合えず安心したけど、アリスは残念そうに息をはく。
「殺気を漏らさずに仕留めるって大変ね」
「ッ!? アリス、お前……」
立ち上がってアリスと向き合う。
「何? どうしてそんな怖い顔してるの?」
何も悪い事をしていないのに怒られるみたいな、嫌そうな顔をアリスは見せた。
「こいつら……殺さなかったのか? 殺せなかったのか?」
俺の質問にアリスは首を振る。
「どっちでもいいじゃん。誰も死んでないんだし」
「アリス……ッ!」
アリスに詰め寄ろうとした時、俺の背後から草木が擦れる音が響いた。
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