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後ろを向くと、サブマシンガンを構えたサラリーマン風の男が林から姿を現した。
「チッ、サラリーマン戦士かっての!」
冗談にもなっていない俺の愚痴が漏れるのと、アリスが地面に転がるマシンガンにつま先を引っ掛けて蹴り上げるのはほぼ同時だった。
フワッと浮き上がったサブマシンガンを手に取り、その銃口が男に向く瞬間、
「止めろッ!!」
間一髪のところで俺の手が銃身を下から弾き、照準を外した。
俺に銃撃を邪魔された事に、アリスが本気で驚いたみたいに目を丸くする。
その表情に言い様のない感情が沸き上がる。
数テンポ遅れて男がサブマシンガンを俺達に向けようとしたけど、その前に俺の裏拳が男の横っ面に炸裂して、雑木林に頭から突っ込む。
「アララ、痛そー」
本気で思ってなさそうにそう言いながら、アリスが手にしているサブマシンガンを素手で解体・無力化する。
「アリス……」
自分でもどんな感情が込められているのか分からない。どんな表情をしているかも分からない。
ただ、俺の顔を見たアリスが気まずそうに頬を掻く。
「な…何よ、今のは正当防衛でしょ! 殺されそうになったから殺そうとするのの何が悪いの!?」
「………」
その疑問に俺は何も言わない。
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