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2人を椅子に座らせ、自分も席に着く。
「っ!?ピー、マン!」
「…にー、じん…!?」
食卓に並べられた料理を見て、朱夏と瞬はほぼ同時に声を上げた。
2人の絶望的な表情に、思わず笑ってしまう。
因みに、2人の反応を見ればわかると思うが、今日の晩飯には朱夏の嫌いなピーマンと瞬の嫌いなにんじんが入っている。
「残さず食べなさいよー」
母さんが更に追い討ちをかけた時、朱夏と瞬は俺にうるうるとした瞳を向けてきた。
うーん、流石にこれは2人のためにも助けてやれないなー。
俺が困ったような表情を浮かべて笑いかけると、2人はあからさまにがっかりした顔をして、俺から視線を外した。
おい、何だその「これだから大人は…」みたいな顔。
俺が軽くショックを受けていると、2人は急にキョロキョロとし始める。
…何だ?
少しの間そうしていたかと思うと、2人は母さんの背中を見つめた後、顔を見合わせてコクリと頷いた。
一体何を始めるのかと不思議に思った俺は、黙ってその後の展開を見届けることにした。
すると、朱夏はピーマン、瞬はにんじんをそれぞれのフォークで刺し、それをお互いの口に突っ込んだ。
ちゅっぽん!とフォークを口から引き抜いた瞬間、何かを感じ取った母さんが勢いよくこちらを振り返る。
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