最終電車

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轢死体は悲惨だ。 電車に跳ねられ、引きずられ、死体は無惨な程、原型を留めない。 新人の拾った肉片も跳ねられた挙げ句にバラバラになり、電車に絡み飛散した物だろう。 尚も地面に向かって吐き続ける新人 (仕方ねぇな…まぁ初めてのマグロ拾いだしな) 「おい新人。お前は先に駅に戻れ。その調子じゃマグロ拾いは無理だろ」 吐瀉を続ける新人がかろうじて頷いた。 バケツとトングを受け取り新人が駅にフラフラと戻るのを見て俺は駅とは反対方向に向かう。 事故現場に向かう道すがら、四散した肉片や臓物らしき物を手際良くバケツに放り込んで行く。 多少の気持ち悪さは感じるが、それ以上に怒りを感じる。 このマグロ…否、今までに電車に飛び込んだコイツらは自らの死後の処理や遺された遺族の事を考えて自殺したのだろうか? 事後処理にかかる高額な鉄道会社への賠償金。 それを知っていて電車への飛び込みをしたのなら迷惑この上ない。 その怒りはマグロ拾いを無償でやらされる俺の内心からの怒りなのかも知れないが… ふと気付くと、辺りに大きな肉片が増えている。少し先に灯火が見える。 (あそこが事故現場か) 内心、少しほっとして俺は周囲に散乱した肉片を見る。
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