助走

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ゆっくり、ベクトルを変えた体は進みだす。 歩くように走りだす。 まだため込んだ酸素は爆発させない。 呼吸とタイミングなんだ。 ゆっくり加速して、段々記憶のスピードのイメージに体を乗せていく。 競技場の雑音 遠くの車の音 観客席だれもいないな とか。 認識してたいろんなイメージが少しずつ削げ落ちてく。 細く、強い感覚がバーに伸びる。 爪先で地面をはじく。 呼吸と、飛ぶイメージと、リズムが揃ってく。
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