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秀吉との会見の場には、忠三郎以外の大名も列席している。伴天連を迫害してきたキリスト教嫌いも多くいた。コーボは彼らにイエズス会を悪く言うことで、信用を得ようとした。また、ルソンでもイエズス会を悪く思っているので、秀吉とは同志だと訴え、秀吉が要求するルソンから日本への朝貢を回避しようとしたのだ。
コーボ達が下がった後、忠三郎は秀吉に訴えた。
「ルソンはフェリペ王の物。そのルソンへ朝貢を要求するは、イスパニアに宣戦布告したも同じ。危険です。幸い総督は友好を求めてきております。イスパニアは日本を侵攻するのではないかと言われてきましたが、総督の態度から、その意思なきことわかり……」
「彼奴らの言うに従い、誼を通じろと言うのであろ?」
「左様です。イスパニアに日本侵攻の予定がないのに、ルソンを刺激したら……」
「イスパニアに日本侵攻の意思がない!?そう言い切れるか?これまでのこと、イエズス会単独の悪事と思うてか!?」
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