1976人が本棚に入れています
本棚に追加
/384ページ
「…本田くん!」
歩道橋を駆け登り、息も絶え絶えに女性のもとへと辿り着くと、自分でも思いもよらない名前が私の口から出てしまった。
ハッと我に返り、あわてて自分の口に手を当てる。
彼女は、一瞬肩をピクッとさせると、私の方を振り返った。
背が高く、美しく整った顔立ちの女性が、私を不思議そうに見つめる。
(なんて綺麗な人なのだろう)
私は思わず彼女に見とれてしまった。
『ごめんなさい!人違いでした…』
少しの間を置いてそう言おうと口を開いた瞬間、彼女が私の名を口にした。
「…平山さん…」
驚きと不安の入り交じったような表情で、彼女は私を見つめていた。
最初のコメントを投稿しよう!