梅雨、小雨の朝

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季節は6月。梅雨も後半にさしかかりジメジメした空気と長く降り続く雨が徐々に夏の暑さを運んでくるこのイヤーな時期に、俺は大層参っていた。 とは言っても、いくら梅雨を恨もうが嘆こうが同じように日は沈み、また昇ってくる訳で、今朝もまたこいつの頭は一年中春なんじゃないか?と思わせるほど元気な妹に叩き起こされ、いつものように朝飯を腹に収め、歯を磨き、制服に着替え、ビニール傘を片手に学校へと向かう。ドス黒い空を見上げ恨みの言葉を頭の中で吐きながらな。ああ、忌々しい。 通学路最大の難関である上り坂は、この雨のせいでさらにキツく感じる。…誰か傾斜を3度ほど上げたんじゃないのか?全然進めないぞ畜生め。
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