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紛れも無くドアを叩いた音だった。
耳に痛いほど、響き渡りシャレにならない程に鼓動が狂ったように踊る。
もしや敵にバレたか?
いや・・・そんなはずは無い。
このアジトは仲間ですら、あまり知られていない所なのだ。
だからといって、敵ではないという保障は、ドアに架かっている鍵のような物だ。
俺は短刀を構えドアの側へ近寄った。
口にはまだタバコをくわえたままで、灰が無造作に舞う。
「ドン!ドン!」
又、ドアが叩かれる。
ん?なんか声が聞こえる。
「・・・誰か!」
「誰かいないか!!」
・・・。
敵か?見方か?
少し様子を見るか・・。
「ドン!ドン!」
「いち!ご!きゅう!よん!じゅう!ご!よん!に!聞こえるか!」
「・・・!?」
「1 5 9 4 10 5 4 2」
なんか聞いたことあるな・・・。
しまった!オレンジパパラッチのコードネームだ!
俺は鍵を開け、ドアを開いた。
外の空気が入り、くわえタバコの灰が再度舞う。
「コッ・コッ・コッ」
足音を立てながら入ってくる。顔が見えた。
目に酷い隈があり、頬がこけていて、よくわからない。
俺は短刀を構えつつ「名前は!」と問う。
「相変わらずだな・・・」と言い、座り込んだ。
「・・・もしかして?
「お前、リョウか!?」
と、聞くと力無く頷く。
「・・・!」
「お前が、守っていた西町はどうなった!?」
と声を殺して問う。
リョウは、無言で首を横に振り
「少し休ませてくれ。」
と言い、横になった。
「・・・」
俺は言葉を失った。
東町も西町もほぼ壊滅してしまった。
タバコが床に落ちてしまった。
なんともいえない戦慄が走る。
身体全体に力が入り、背中に冷たい物が流れた。
ふと涼やかな視線に気付いた。
アイが、じーっと俺を見て感じとったように身体を震わせていた。
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