『春雨リコリス』

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「なぁ、春菊」 ホームルームが終わり、生徒が各々教室を出て行く中、春菊は自分の座席に座ったまま本を読んでいた。 次々とクラスメイトが辺りから消えていく中、何故彼女は帰宅しないのだろう?なんて些細な疑問を抱いたんだ。 だから話し掛けてみたんだ。 勿論、春菊に話し掛けた本当の理由は、他にあるのだが。 すると、これだ。 「私に話し掛けないで、殺すわよ」 正直、驚いた。 一般生活の中で、ましてや校内で「殺す」なんて言われたのは初めてだったからだ。 いや、「殺す」という言葉を言われた事がない訳ではない。若者なら一度や二度、ふざけて言ったり言われたりする言葉だろう。 あくまで普通に生活している中で、あんな目をして、刺を持って言われたのは初めてだ、という話だ。
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