1855人が本棚に入れています
本棚に追加
/221ページ
中に入ると、真っ先に目に入ったのは大きなソファ。
10人は座れるんじゃないかというぐらいの大きさである。
そのソファの真ん中に、校長先生と思わしき人が座っていた。
ふくよかな体型に、おしゃれな茶色のスーツ。
大きな黒淵の眼鏡に、真っ白な髭が良く似合っている。
まるで某フライドチキンチェーン店のあのおじさんのようなその容姿は、まさしく"偉い人"という雰囲気を醸し出していた。
「こんにちは榊君。君の話はお父さんから聞いているよ」
「はぁ・・・それはつまり・・・そういうことなんですかね?」
「ううむ・・・」
校長先生が俺の心情を察するように、先程まで穏やかだったその表情を強張らせた。
「君のお父様が、我が校に願書を提出されたんだ。君の代筆ということでね」
やっぱりか・・・なんだか引っ越すまでやけに転校先のことを隠すと思ったら、親父め・・・。
「それでその、こんなことを聞くのもあれなんですが、どうして男である俺の願書を受け入れたんですか?」
この学校の最高責任者である校長先生が、男を受け入れるに至るまでの理由がどうも解せない。
すると校長先生は、先程と同じように穏やかに笑いながら答えた。
最初のコメントを投稿しよう!