純真なる少女

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(ドクン……ドクン……ドクン……ドクン……) 感じる……感じるぜ…… 秒毎に刻まれる胸の鼓動が…… 熱い……熱いぜ…… この高ぶる感情……もうどうにも抑えきれないぜ…… もうすぐ……もうすぐ…… 男の意地をかけた戦いが始まる! (キーンコーンカーンコーン) 「よっしゃあ!昼休みだ!」 「急ぐぞ、乕田!」 午前の授業の終わりを告げるチャイムとともにオレと新藤は勢いよく席から立ちあがり、全速力で教室を飛び出した 『廊下を走るな!』と書かれた張り紙の注意など無視し、オレと新藤は猛然と廊下を走り抜け、階段なんかも一段一段駆け下りることなんかしないで一気に最上段からジャンプした 「こら、お前ら! 廊下を走るな!」 「るっせえ、ハゲ!」 「老化でも恥じてろ!」 注意してきた教師にもこの始末である 止まるわけにはいかねえ なんたってオレ達には急ぐ理由があるんだ それは…… 「おーい、アンパンくれー」 「オレはカレーパンを頼む」 オレ達がやって来たのは購買であった 「くそ、出遅れた!」 「げっ、もうこんなに混んでやがる」 「やっぱり教室から距離があるっていうハンデは大きいな 授業が終わってすぐ飛び出してもこんなに人がいるんだからよ」 「それにしてもこの混み様は異常だろ どうなってやがる 先週まではもっと人が少なかっただろ」 そう言われてみればそうだ 先週の水曜日同じように来た時にはせいぜい20人ぐらいしかいなかったけど、今は明らかに50人、いや、下手したらそれ以上はいる オレと新藤がいぶかしげに首をかしげていると人混みの中から両腕にパンを抱えたサッカー部員が出てきた 何か妙に上機嫌で、ふわふわした顔が気持ち悪かった 「おい、近田(きんた) こいつは一体どういうことだ?」 「お、新藤 それに乕田じゃねえか」 「それにじゃねえよ、益男(ますお) なんでお前そんな花畑をピクニックしているみたいに愉快な顔してるんだよ?」 はっきり言ってこいつは親を恨んでもいいと思う 「なんだよ、お前ら知らないのか? 見てみろよ、あれ」 オレと新藤は益男が指さす方を見てみた 人が多くて見づらかったがレジのところで同学年の女子が忙しそうにパンを売りさばいているのがわかった ちなみに同学年だとわかったのは学年別に分けられているネクタイの色がオレと同じだったからだ
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