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一方その頃、
「イカン次大ちゃんや」
「俺、その次や」
立技の乱取り中ヒソヒソと熊野孝文と内海靖が話している。
二人の視線の先には、3年生をボコホコにしている男の子姿が……
彼は野上大輔、ここ山田道場の師範野上勤の息子で小学2年生。孝文と靖は同級生だ。
県内ではほぼ敵なしの柔道の天才だ。彼の練習相手は上級生位しかいない。この1ヶ月で3人が辞めてしまい、人数が減った為、大輔と乱取りをする機会が増えた。
「ヤバイの早く次の“いけにえ”を探さんと」
「そうやの、早ようせんと、また誰か辞めてしまうし、俺らがボコボコにされる回数が増えるわ」
「みんなにも言わんといかんな」
そして二人の密談が終わった。
「コリャ!真面目にやらんか!ケガするぞ!」
「「は、はひぃっ!」」
野上の怒号に二人ともそそくさと練習した。
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