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神選定
2009年 6月7日
「神野ー。神野仁(カミノジン)ー? 居ないのかー?」
担任の声が虚しく響く。
その問いかけに答える者はいない。
「神野欠席、と」
担任は居ないのを確認すると出席簿に×印を書く。
「またかよあいつ。そんなに学校休むんなら止めちまえばいいのに」
生徒の一人がボヤく。
その発言に何人か賛同して頷いた。
「あいつ、出席日数足りんのか? そのうち勝手辞めるんじゃねーの?」
クラスで小さい笑いが起こる。
担任はパンパン、と手を叩いてそれを止めた。
「ハイハイ。そーいうのは神野より成績が良くなってから言えよー。欠席多くても成績はトップなんだから。じゃあ日直、号令を掛けろ」
「起立」
その一言でクラス全員が立ち上がる。
「気をつけ。礼」
「んじゃ、一時限目は英語だったな。笹山先生抜き打ちテストの準備してたから覚悟しとけよー」
教室内がブーイングで溢れる。
もう神野の事を考えている者などいなかった。
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