ハラハラドキドキ?新しい学園生活の始まり!

17/32
前へ
/130ページ
次へ
質問は終わるギリギリまでやっていた。数学のプリントはやらないで済んだから、まだ良しとしよう。 やっとのことでチャイムが鳴り、地獄から逃れられた。 自分の席に戻って、倒れるように突っ伏した。いや、倒れた、でいいか。 「おぉ、そうだ。テン」 たっちゃんが何か思い出したようで、教室を出る直前で止まって、私の席まで来てくれた。 顔だけ上げて用件を問う。 「放課後、健康診断をやるから残って欲しいんだけど、いいか?」 「あぁ、いいッスよ……」 「あんがと。じゃっ、お疲れさん!」 最後に私の頭を乱暴に撫でて、職員室に戻っていった。 なーにーがー、お疲れさん、だ。 さっきの笑顔がムカつく。本当に。もう。てめえも充分楽しみやがって。 でもたっちゃんだから許す。 「ふふっ。髪、ボサボサだよ」 「ほっとけ。で、次は?」 唯に笑われたのを軽くスルーして、教室の掲示板に貼られた時間割り表に目をやる。 月曜日を探して、と……、 ────体育。 「……体育!?」 思わず声にだしてしまった。しかも裏返った。 マズイ。これはいかんぞ。    着  替  え   脳内に、この三文字が浮かぶ。 普段は教室で着替えていた。でも、今は無理だろう。 心は女のままでも、体は男。クラスで気にする奴が一人や二人いても──── 「おいっ、天!お前出ていけよ!!」 ほら、いた。遥菜さんがいたよ。 遥菜につられてか、他の人達も次々と出てけ出てけって言い出したし。 ジャージが入ったバッグを持って、大急ぎで廊下に出た。とりあえず、みんなが着替え終わるまで待つことにしよう。 勢いで持ってきてしまった……畜生。 廊下に出た途端、また視線が一斉に集まる。でも話し掛けられないのは、先生とか誰かから話を聞いたからだろう。 我慢だ。我慢するんだ綾瀬天!視線が何だ。ひそひそ話が何だ!教室にいるみんなが着替え終わるまでの辛抱だ! みんなが着替え終わったのは、二時間目始まりのチャイムが鳴る二分前だった。
/130ページ

最初のコメントを投稿しよう!

206人が本棚に入れています
本棚に追加