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それって理不尽じゃないか。
そりゃ僕は黒髪黒瞳短髪な、見た目地味な高校生男子さ。
先輩は今時なかっこいい男子さ。
でも、こんなことってない。
『傘忘れたから、入れてくれる?』
何故僕にわざわざ言うわけ。
僕はナミが好きなんだよ。
こんなにも、溢れるくらい好きなのに。
君はきっと、いつも当たり障りなく喋る僕を友達だと思ってる。
悔しい。
「シン、どうしたの?」
「ううん、なんでもない。大丈夫だよ」
愛想笑いも疲れた。
いっそ君を奪えたら。
でも、出来ない。
君に真実を教えられない。
泣く君を、見たくないよ。
「ありがとう」
「うん」
結局。
夜になる時間帯、君を家まで送って、僕は家路につくわけで。
何も出来ずに。
「あーあ」
「!?」
突然の声に、僕は驚いて振り向いた。
そこには、小学生くらいの男の子が、立っていた。
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