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その頃...山崎さんの家では...大変なことが起きていた...
伝染病の疑いで救急車で運ばれた後、家では大変だったと後から聞いた。
保健所のひと達が詰掛け、噴霧器で家の中を消毒する...
父もさる姉も、おでこが可愛い妹も、消毒粉をかけられたらしい...
冷蔵庫から食器棚...押入れ、布団までも消毒され、家には食べられるものも無かったそうだ。
『息子さんの病気が分かるまで、家から一歩も出ては行けない! 外部の人間との接触も禁じます。』と言われたらしい。
家族皆がひもじい思いで、僕に付添い救急車に乗った母の帰りを待っていたそうだ。
母もまた、病院で身体を消毒され、検便をされたと言っていた。
幼稚園で前の年、オタマジャクシから青蛙に孵ったカエル(僕はケロヨンと呼んでいた)は皆、消毒液で殺されたそうだ...
だから、三日間、母も父も、誰も病院に来れなかったそうだが、僕は知らず、独り、真っ白な色に怯えていた...
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