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危ない!
そう警告するより先に、イシュカさんから盛大な光の帯が放出され、カエルラの後ろに現れた靄を粉々に壊していく。
「屑としての分をわきまえときな。アンタの居場所はここじゃないんだよ!」
カエルラが躊躇なく引き金を引くと立て続けに爆音が轟き、激しい銃弾の嵐を浴びせた。
『ぐぬぉぉぉぉおおおお!!』
銃弾となっているのはティアマト自身。
笑いながら引き金を引き続ける彼女は、ティアマトを銃底で殴りつけ、殴りつけたと同時にヤツの一部を食い散らかす。
即座に創られた銃弾で彼女は更に追い討ちをかける。
休まる事のない攻撃の乱打に、ガードを強いられていたティアマトも反撃に転じようと腕を伸ばすが、同じように殴りつけられ、手首から先をあっさり喰われてしまっていた。
『あがあああああああぁぁぁぁ!!!! このっ、我が……何なんだその武器は!』
「凄い……」
ティアマトの体を難なく引き裂いてしまう銃の底にある牙もそうだけど、一番驚くのはカエルラのその人並み外れた身体能力だ。
ティアマトの動きに完璧に着いて行って……いいえ、それよりも速く動いているようにも思える。
「じゃじゃ馬化したのは銃よりお前自身かっつー話よな? なぁ、ニイナちゃん。銃ってのは本来接近戦じゃぁ使わないんだけどなーあのバカ娘」
横をとことこ歩きながら言ったのはイシュカさんだった。
エーレさんの姿は見えなくなっていたが、それでもイシュカさんの体からはエーレさんのように紫電が迸っている。中に潜んだのだろう。もともと半分イシュカさんに埋まっていたようなものだし。
「ほら、ロイン、ニイナちゃん。それにちょっとは回復したんだろ? プクよぉ。呆けてないで行くぜ? アイツ一人に戦らせる気かよ」
「うっ、うるっせぇな。今から行こうと思ってたんだよ!」
「んミャ~。儂はまだ動けぬというのに、酷い人間だミャァ」
「だっはっは! それだけ口答えできりゃ十分働けるだろ。そーら、ヒーローについてきなさい君たち」
そう言って、無邪気に笑いながらイシュカさんは駆けだすのであった。
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