~友達~

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見間違いだろうか?     テンガロンハットの上に三角形のオブジェが二つ、ちょこんとあり、それが獣の耳に見えなくもないけれど……。     いやいや! 有り得ないわよね! 仮にアレが防具だとして、頭部を守るにしても面積が極小過ぎやしないだろうか。     不必要なものだし、耳なんて。しかも帽子の上に耳が出来るはずもない。 なら頭飾りか何かの一種かな?     でもちょっと……可愛い。     ブーツの代わりに爪を持つ獣の脚部を得たカエルラは華麗に宙を舞い、片膝をついて休むティアマトの真横に豪快に降り立つ。     ……動きが見た目の可愛らしさとは無縁だよ。     『なんだ……その力は……』   「んー? 聞こえな――」     ジャッ!!     カエルラがとぼけた素振を見せた瞬間、ティアマトの翼が彼女を貫かんと素早く動いた! あれはどんな防具でも容易く貫通させてしまうほどの鋭さと硬度をもっている! カエルラ!     「カエル……ラ……えっ?」     だがカエルラはそれを完全に見切っており、両方向から襲い来た細見の翼を二つの銃の底で以てして防いでいた。     カエルラが鋭くなったのは何も動きだけじゃない。感覚も鋭敏になっている。ティアマトの翼に押し負けない力も増している。     しかもあの銃底は確か……。     「おや、わざわざ差し出してくれるとはレディーに対しての礼儀はあるようだね。じゃあ遠慮なく……お食べ!」     彼女の声に応えて銃底が大きく蠢きだす!     二つの銃は、バックリと貪欲なモノへと姿を変えると、そのままティアマトの翼をずらりと並んだ牙で食い千切ってしまった。     「数か月前になるか……わたしは弱かった。それを知った。知らされた。アンタにね。アンタさ、このわたしに何て言ったか覚えてる? 頭に染みついてとれやしないんだ、あの時の言葉。覚えてないでしょうね……ならアンタに掛けられた言葉をそっくりそのまま返すよ」     眉間に銃を突き付けられたティアマト。 そのカエルラの真後ろに出現する黒い靄。    
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