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気付かぬうちに、たった二人の人間の登場で辺りに漂っていた負のオーラはどこへともなく消え去っていた。
エーレさんの存在が、あたし達だけでなく味方にも安堵の余裕をもたらす要因の一つになっているは確実。
それとカエルラの快進撃も目を見張るものがある。
“人”が。
それも“女”が一人で“神”と渡り合っている光景なんて誰が想像できようか。
イシュカさんの晴れやかな笑顔も淀んだこの空気を払拭(ふっしょく)させていってるようにも感じる。
この二人の登場でロインが活き活きしだした。それもそのはず。理由なんて言うだけ無駄ってもの。
あたしだって、嬉しいんだから。
ところでぷーちゃんの今の居場所はというと……イシュカさんに近づくと雷の被害にあうのは必至。
ティアマトとガチンコで殴り合っているカエルラと一緒にいるなんて論外。ロインも動きに制約がかかってしまうだろうとのことで、ただ今ぷーちゃんはあたしの肩に乗っていた。
「休んでればいいのに」
「ミャッ! 儂とて戦の覚悟があってついてきたのだミャ。ここで高みの見物は嫌だミャ」
「頑固なんだから」
「好きに言うがいいミャ」
あたしの傍にいるほうがティアマトからは離れているし、防御の面でも他の三名より幾分かはマシである。
相変わらず非常識な動きをしていたのはカエルラ。防御がそのまま攻撃に繋がる彼女の武器に、さすがのティアマトも鬱陶しそうであった。
そこへロインが加わり、イシュカさんが加わった。
……そういえば、イシュカさんとロインのコンビは初めて見るな。初めて見るだけに、どうしていいかわからず魔法を出すタイミングがわからないのが本音。
展開が――速すぎるのだ。
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