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各々が相手の動きを目で見て、それから行動に移ってるわけじゃないみたい。
誰がどの役を担っているのか。次はどうするのか。その動きは華麗で無駄がなく、あたかも最初からわかってるみたいに。
「あ奴ら……あれでも本当に人なのかミャ?」
そう思うのも当然だよ、ぷーちゃん。何年も、何十年も一緒にいなきゃあんな芸当出来やしないよ。あの二人の動きにまともについていっているカエルラもまた凄い……。
繰り出される攻撃の数が圧倒的だった。
あのティアマトが、三人の人間にコンビネーションで圧されているのだ。
「わかんない。わかんないけど、たぶんあたし達、とんでもない人達と今まで一緒に生活してきたのじゃないかしら」
ティアマトの攻撃を受けるのがイシュカさんならばイシュカさんは防御を。瞬間ロインが攻撃に転じ、カエルラがロインのために活路をねじ開く。
三者が役割を事前に相談してやってのけていいるわけじゃないのに、息がピッタリ。
……「息がピッタリ」なんて言うのも失礼に感じてしまうくらい鮮やかだ。互いが互いを信じ合っている。意思疎通が極限まで研ぎ澄まされている。幾度となく踏み締めてきた過去の戦歴がものを言う。
だからこそ、ああやって動けるのだ。
「……あたし達、ロインの力、全然引き出せてなかったって事かな……」
あたしも、ああなりたい。
「言い訳みたいに聞こえるかもしれないが、魔導士と剣士とでは戦い方が違うミャ。だがしかし、積み上げてきたモノがここに来て大きく露見したのは確かミャ。儂もそうだが、強くなるしかないミャ。今のが小僧の限界ならば、それを意図的に引き出せるくらいに。お互い成長しようミャ」
「……うん」
また一つ、大きな目標が出来てしまった。
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