その男情報屋につき

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「クソッ」 悪態をついて武器を下ろす奴さん。 「粕川 啄(カスカワ タク)二十六歳。若いッスね~~。お兄さん。ハイデイスという貧乏集落出身。二歳年下の粕川 朔(カスカワ サク)という集落一の美人で評判な妹がいて、妹思い,兄思いの仲の良い兄妹」 妹さんの名前がでてから、急に顔が険しくなっていく今回の団体さんのリーダー格。奴さんもとおい啄さん。 「痩せこけた土地を耕しながら、平和で幸せな日々は続くと思っていた。そうリッゼグーリタスがハイデイスに攻め入るまでは」 「止めろ止めろ止めろ」幾度となく呟く啄さん。周りの人達も人達で、状況についていけず、オロオロするばかりだった。憐れだと思うだが俺は止めない。止めるつもりはない。 「リッゼグーリタスはハイデイスにいきなり襲い掛かると、何もかも奪っていった。金や食料、集落が大切に育てていた家畜。だが不思議と人の命は奪うことは無かった」 「止めろ止めろ止めろ止めろ」という声が大きくなる。止めて欲しいならホログラムを作り出している機器を壊せば良いのに、啄さんや周りの人達も、それすら気付いていない様だ。 「ハイデイスは一人の死者を出す事なく、リッゼグーリタスをやり過ごせた。可笑しい事はない。何たって貴方の集落の者達は、貴方の妹さんを犠牲に集落の全員の命を買ったんだからな。そう貴方は妹さんを売ったんだ」 「違う!!アレは仕方無かったんだ!!」 「仕方無いと言うなら何故此処にいる。何故リッゼグーリタスと対立しているアクラリンズに入った。何故小さな隊のリーダーを任せられるまで上り詰めた」 「それは……!!」 声が小さくなる啄さん。 ピピッ 調度その時、機会独特の無機質な音が三舟の傍でした。 ――やっと終わったッスな。 そう三舟が思ったその時 バンッ 鋭い銃声。 「判断が遅いッスね」 ホログラムは消えていった。
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