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自分の部屋へ入ったハサウェイは、疲れを洗い流そうと、シャワーを浴びることにした。
――今日は、いろいろありましたね。
久しぶりに兄さんの夢を見ましたし、姉さんが担任に、そして……
「ティア……不思議な子ですね」
自然とその名が口から出ていた。
ハサウェイは、気付いて口を押さえ、周りに誰がいるわけでもないのに辺りを見回してしまった。
――本当にティアは、僕の調子を狂わしますね。
ハサウェイは、風呂から上がり、窓際に置かれた木製の机の引き出しに手を掛けた。
引き出しの中には、太陽を象った純銀のペンダントが置いてあった。太陽の中心には、小さくルビーが輝いている。
ハサウェイが幼い頃、思い出の女の子から渡されたペンダントだ。
ハサウェイは、それを一回指でなぞり、引き出しを戻した。
――ティア、彼女は本当に不思議な人です。
一緒にいると、何故か安心する。
こんな気持ち自分は抱いてはいけないのに……
そんな権利はないのに……
そんなことを考えながら、ハサウェイはまどろみの中に意識を沈めていった。
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