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少年はその日いつもとかわらぬ朝を迎えた、はずだった。
普段なら起きると寝室の中にまで美味しそうな朝食の匂いが漂ってきて彼の胃を刺激し、母や兄弟の集まる食堂に導かれるように移動するのであったが、今日は何の匂いも感じない。それに何やら騒がしい。
寝床から立ち上がったもののその違和感から動けずにいた孔明の部屋の扉が開き、中に飛び込んできたのは、彼の母親であった。
「母上、どうしました?」
「亮、早くこちらへ、逃げるのです」
逃げる?なにから?どこへ?
頭の中が疑問符だらけになった亮の手をとると彼の母親は食堂に向かった。
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