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ドラゴンの攻撃に対して黒い存在は上空へ跳びつつ身を回転させ、大鎌を振り上げるように構える。
腕の間から見える不気味な赤い瞳は鮮血のように紅く覗く。
まるでタロットの13番目を連想させる死神だった。
ドラゴン達の攻撃が虚しく終わる中、黒い閃光を描く大鎌は必殺の一文字を描いた。
横一線の鮮やかな一撃がニ頭のドラゴンの肉を切り裂き、首を奪う。
また、首が落ちた。
その最中、仲間の死で危機感を覚えた一匹のドラゴンが火炎球を吐く。
灼熱の球体が黒い存在へと飛来する。
対して着地した黒い存在はほとばしる炎の球へ鎌を縦に振り下ろすと、鎌から暴風が巻き起こった。
地面を抉る程の暴風。
解放された暴風は灼熱の球を吹き消し、消滅へと誘う。
その間に黒い存在はドラゴンから吐き出される炎を左右に避けながら素早く間合いを詰め、一匹のドラゴンの長い首の横に移動。
ドラゴンから吐き出された炎は落ち葉の積もる地面に引火して燃え上がる。
その炎は黒い存在を包み込む。
しかし黒い存在は炎を無視し、何も反応を見せずに大鎌を反時計回りに振り上げた。
僅かに風の音が鳴る。
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