Prologue

3/9
1021人が本棚に入れています
本棚に追加
/184ページ
「ご迷惑をおかけしました」 彼の声は、彼が思うより小さい。 希望した整形外科には配属されず、人員不足のオペ室に半ば無理矢理配属された。 不本意な配属にも耐えた。 人生はそう上手くはいかないと、若いながらに彼は身をもって経験していた。 『人生すべてが勉強』 彼の座右の銘であり、父の遺言でもあるこの言葉を糧に、彼は今まで頑張ってやってきたつもりだ。 やってきたつもりが、ここへ来て全てが泡となって消えていく感覚がした。 血は、ダメだ。
/184ページ

最初のコメントを投稿しよう!