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「それじゃあ、トシ・・・」
「ああ。」
二人が頷き合うと、近藤隊と土方隊が二手に別れた。
泉水は近藤隊。
両隊には一人づつ、監察が配置されており、何かあれば双方の連絡役をすることになっている。
「沖田さん、体は大丈夫ですか?」
泉水は思い出したように沖田に問いかけた。
「大丈夫です、ピンピンしてますよ。」
沖田が少し汗をかいているのを、泉水は見逃さなかった。
泉水はそれとなく、近藤に話をした。
「沖田さん、体調悪そうです。目を離さないであげてください。」
近藤は頷いた。
「新撰組だ、ご用改めである!」
「なんでっしゃろ?」
「ここで、長州の者達が集会を開いていると聞いた。」
「そんなのしりまへん、お引き取りください!」
こんなやりとりが幾度となく行われている。
それは土方隊も同様だった。
そしてさらに1時間程度同じやりとりを繰り返しただろうか、泉水が沖田の様子に気を配りながら、たどり着いた池田屋。
隊士たちにもさすがに疲労の色が見え、「ウソなんじゃないのか」という空気に包まれていた。
「新撰組だ、ご用改めである!」
近藤の高らかな声が響く。
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