第13章・池田屋事件(後編)

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「それじゃあ、トシ・・・」 「ああ。」 二人が頷き合うと、近藤隊と土方隊が二手に別れた。 泉水は近藤隊。 両隊には一人づつ、監察が配置されており、何かあれば双方の連絡役をすることになっている。 「沖田さん、体は大丈夫ですか?」 泉水は思い出したように沖田に問いかけた。 「大丈夫です、ピンピンしてますよ。」 沖田が少し汗をかいているのを、泉水は見逃さなかった。 泉水はそれとなく、近藤に話をした。 「沖田さん、体調悪そうです。目を離さないであげてください。」 近藤は頷いた。 「新撰組だ、ご用改めである!」 「なんでっしゃろ?」 「ここで、長州の者達が集会を開いていると聞いた。」 「そんなのしりまへん、お引き取りください!」 こんなやりとりが幾度となく行われている。 それは土方隊も同様だった。 そしてさらに1時間程度同じやりとりを繰り返しただろうか、泉水が沖田の様子に気を配りながら、たどり着いた池田屋。 隊士たちにもさすがに疲労の色が見え、「ウソなんじゃないのか」という空気に包まれていた。 「新撰組だ、ご用改めである!」 近藤の高らかな声が響く。
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