プロローグ

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《何故なら……辞退は、その人間と最も絆のある他の人間に参加権が移動する事になるだけだからだ》 神のその一言で、空は他の参加者達の驚く姿が容易に想像出来た。 《一応辞退の方法を説明すると……自殺だ。ゲームを辞退をしたい者は、自ら命を断て》 この言葉が、更に人間を貶める。 《勝敗の付け方だが、まず選ばれた君達、能力者同士が対決しあう。そして、相手を殺した者が勝利者だ》 神は“殺し”をなんともないように口にする。 《だが、安心したまえ……負けたらそのまま死ぬ訳ではない。瀕死でも一応は負け判定だしな。生き返るチャンスもある》 神は一呼吸置く。 《このゲームに優勝した人間には、“願い”を一つ、叶えてやろう。更に、願いとは別に失った大切な者と、その人間が優勝までに倒した人間達を、そいつが望めばだが……生き返させてやろう》 神は餌と言わんばかりに願いの所を強調し、話した。 つまり、優勝すれば失ったものが皆戻って来て、願いも叶うという事。 《君達選ばれた人間には能力者の証として、君達にだけ見える特殊なマークが両手の甲と額に浮かび上がる》 神がそれを言い終わると、突然空の両手の甲と額が疼きだした。 その疼きはすぐに、あっけなく終わったが。 「うわ……」 見ると、両手の甲に大きく“Ⅹ”と刻まれていた。 《さて、そろそろ君達の手の甲に“A”と言う単語が浮かび上がっている事だろう》 え…………? 空はもう一度、両手の甲を確認する。 そこにはやはり、“A”ではなく、“Ⅹ”と刻まれている。 《だが……1000の内、5人だけは“Ⅹ”と刻まれている筈だ。その“Ⅹ”はただの能力者とは違う……私は〈Ⅹ・ヒューマン〉と名付けよう。彼らの能力は異常だ、普通の能力者とは桁違いに強い能力を所持している》 神はここでまた一呼吸置く。 《最後に、〈Ⅹ・ヒューマン〉は強い……その為、倒した能力者にはその勝利を称え、〈Ⅹ・ヒューマン〉に限り倒した者に能力の一部を与えるものとする!》 神は興奮した声で叫ぶ。 「! 待て、待てよ! じゃあ僕は恰好の的に……」 《それでは人間達よ……頑張りたまえ!》 神は去った。 突如、自分の体が急に衰弱する。 そして、抵抗する間もなく、空は床に着いた。
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