第一章

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空が目を覚ました時には、窓から朝日が差し込んでいた。 「あれは……夢、だったのか?」 空は確かめる様に自分の手の甲を見る。 そこには、くっきりと“Ⅹ”の文字が刻まれていた。 あれは夢ではない。 つまり……。 「僕も、能力者って事か……それもレアな」 空は苦笑しながら、自分の手の甲を見る。 たまには早めに降りようと立ち上がると、ベッドの上に何かが置いてあるのが視界に入った。 空はベッドの上にある物を見て、絶句する。 ベッドの上にあったのは漫画等でしか見ない、剣。 柄の終わりに球体、諸刃で頭身が65cm程の細身の剣であった。 もっとも、空はそれを見て夢のないことにまず困ったのだ。この剣を入れる鞘が何処にない事に。 「どうしよ……こんな物騒な物。間違いなく銃刀法違反じゃないか」 法に関わるので真剣に考えていると、空は神が言った事を思い出す。 《更に、君達には能力と一緒に武器を与えよう。武器は君達が生活の中でも怪しまれずに携帯出来る様、いつもは小さくして置ける様にする》 つまり、この剣を小さく出来ると言う事。 空は試しに呟く。 「小さくなれ」 何も起きない。 「スモール! ポケット! 消えろ!」 なんの反応もない。 (小さくなれ……小さくなれ……) 拝んでも無反応。 さすがに空は諦め、とりあえず充電スタンドに立て掛けた携帯を手に取る。 すると、急に剣がカタカタと揺れ出した。 「な、なんだ?」 驚く間もなく、風船から空気が抜け萎んで行く様に剣は萎縮し、観光地でよく売っている数百円程度のストラップへと変わった。 それは一瞬で空の視界から消え去り、携帯を持つ手に何かが通り過ぎた様な風が当たるのを感じとり、目を向けると、先程の剣は携帯にストラップとして付けられていた。 …………。 まさかと思い、試しにそのストラップを外してみる。 すると、凛とした音が辺りに響き、剣は元の大きさへと戻った。 「わ……面白いな、これ」 空はしばらくの間、それで遊んでいたが、やがてある事を思い出す。 “能力”と“代償”の事を。
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