第一部:その男、伝説に消えた者

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此処までの情報にて、ポリア達は訳が解らなくなった。 横の呆れたマルヴェリータからすれば、 「じゃ、もう捜さなくていいんじゃない?」 と、意見を述べて。 ポリアやイルガも、賛成である。 此処で、奥のドアに視線を動かしたK。 「そら、豪勢な料理が来たみたいだ。 食べながら、続きと行こうか」 他の一同が、奥の扉を見ると。 「御待たせ致しました」 と、声を発し。 先ほどに退室したメイド二人で、台車2つに料理を運んでくる。 その量を見たKは、包帯の間から見える眼を料理に注ぎつつ。 寧ろ、こっちが異常事態だと、横の一番常識が解りそうなイルガへ。 「なっ、何だぁ? えらい量が多いな」 処が、イルガは大した事は無いとばかりに。 「いや、あんなもんだろう」 と、言って寄越す。 (マジかよ) 呆けるしかなくなったK。 だが、Kの驚きも最もだ。 丸鳥のグリルに始まり、サラダ大盛りのボウル。 パンは、焼きたての形のままに、丸々と出て来たし。 魚の切り身のムニエルとは別に、大型のスズキが姿蒸しで、特大の皿に乗る。 他、6種のメインと、10種のオードブル。 10人前ぐらいのパンに、スープも似たような量。 余りの量に、口元を引きつらせるK。 (お゛、おいおい・・、此処は大食い大会の会場か?) と、小声で呟くのだが。 料理を見たポリアは、なんとでも無い顔で。 「先ず、食べよっか」 と、仕事の話は中断した。 さて、紅茶を片手に、固まるKの前で。 周りの連中ときたら、食べるは、呑むわ…。 イルガは体つきからして、食べるのも解るが・・。 ポリアやマルヴェリータに加え、システィアナも含め。 女性というのに、食べる食べる。 Kが量に気圧される間にもう、最初に取り皿へ盛った料理が無くなり。 その頃には、高級ワインも既に、二本は空だ。 これまた、イルガは体つきから解るが。 女性のポリアも、マルヴェリータやシスティアナも、ジュースの様にワインを呑む。 マルヴェリータは、やや座り始めた瞳をして、少食で酒を呑まないKを見て。 「ねぇ、ケイ。 “パタリ病”の原因って、なんだったの?」 すると、横のポリアから。 「マルタ、お酒だって」
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