熱の温度

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「お、俺、ケガ人なんだけど…!」 ちひろは見上げながら縋るようにそう言った。 しかし逆効果なのか暁は更に服を捲り、露わになった脇腹を撫で回す。 「ここ痣になってんな」 「ちょ…い、痛ぇって」 「痛ぇ?ここは」 「ぁ…え、そこはぶつけてな…っ」 暁の問いにちひろは首を振るが、冷たい手は肌を滑って上まであがってくる。 制止をかける前に胸の突起を弄られて、ちひろはその刺激に「うぁっ」と声を上擦らせた。 「どこ触っ…ぅ」 弄られるたびに、ピリっとした痛みと共にジンジンとした感覚がせり上がってきて、ちひろの中に羞恥と混乱が混ざり合う。 「…う…く」 しつこく触ってくる暁の手を剥がそうと上から握るが、力が入らない。 まさか乳首を他人に弄られるなんて考えたこともなかったちひろは涙まじりで訴えた。 「何すんだよ…なんでそんなとこっ…俺、男なのに…」 「何今さら分かりきったこと言ってんだ」 「だっだから…触ってもつまんねーだろっ」 「つまんなくねぇよ。楽しい」 「何言っ…、!?」 ちひろの訴えにも関わらず、暁はそう返しながら身体を更に密着させてくる。 するとウェア越しからだが、太ももに当たった感触にちひろは固まった。 (なんか硬いモンが、あ…当ってるんですけど…!) 男同士なのに、暁が自分に欲情している事実に驚愕する。 それと同時に湧き上がる羞恥に言葉も出ず、顔を真っ赤にするちひろを見て、暁は繰り返しキスをするとこう言った。 「可愛いなお前」 「は…!?」 “可愛い”暁の口から出たその単語に、ちひろはまたしても衝撃をくらう。 本当に目の前に居るのはあの暁なのだろうか。普段からは想像もつかない台詞にちひろは眩暈さえした。 「な、何言ってんだって…暁、おかしいよ今日。熱でもあんじゃねぇ?」 「…熱か。だったら冷ましてくれよ」 .
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