Last act

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「さて、これですべてお前には話したぞ?」 「ホント?」 「あぁ。胸につかえてたもんがスーッと無くなった気分だ」 「…………そう」 竜のばか。 一番大事なこと、忘れてる。 私は恨めしそうに竜の顔を覗き込んだ。 「な、何だよ?俺もう何も隠しごとなんてしてないぜ?」 「ふーん」 わざと挑むような視線を向ける。 「あ!」 だけど竜が突然、何かを思い出したかのように表情を明るくさせた。 「思い出した?」 「そうそう、宇佐美がお前によろしくってさ」 「…………」 「何だよ?そういうことじゃねぇのかよ」 あからさまに憮然とした態度を見せる竜。 もう!怒りたいのはこっちだっつうの! 私もまた膨れっ面をしてみせた。 バカ竜。 今日は私の……… 「じゃあ。コレで許せ」 そう言うと竜はいきなり私の左手を取った。 「あ………」 「ちなみにお揃い」 竜は自分の左手にある“それ”を私の目の前で翳してみせた。 私の左手薬指に光るのは…… プラチナリングの結婚指輪。 「俺の嫁になれ。ちなみに戸惑いもためらいも沈黙もすべて肯定と見なすから」 「え………?」 竜らしい“俺様”的なプロポーズ。
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