目線、その先

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「俺、ストーカーされてるかも」 決心してそう告げると、目の前の友人は笑うよりもどこか呆れた可哀相な目で俺を見てきた。 目線、その先 「はぁ、よーく考えろよ川崎。お前がストーカーされるわけがないから」 「んだよ、俺だってありえねぇって思うけどね!でも何そのため息!少しは心配してくれてもいいだろ!?」 こっちはマジで言ってんのに!お前がそんな薄情な奴だったとは、河野! 「まぁ落ち着けって。だからよーく考えてみ?ストーカーっつーのは可愛い女やイケメンについたりするわけ。つーか何かされたの?いつものお前の被害妄想だろそれ」 いつものって何だ?被害妄想なんていつもしてねーよっ 「ひでぇ…何て友だち甲斐のないヤツなんだ河野っちゃん。なんかされた後じゃ遅ぇだろー」 そう言って俺がうなだれると河野はギャハハと笑った。本当にひでぇ、言わなきゃ良かった…。 まぁそりゃ俺なんてこんな平凡だし空気だしね!可愛くもなければイケメンでもない。 生き方だって別段楽しいこともなけりゃ辛いこともないって感じで。 まぁ母子家庭なんで貧乏だけど。でも可愛い弟だっているんだぞ(ブラコン) 俺自身は何の取り柄もなくて、オカンからは「普通に育ちすぎて嬉しいんだか寂しいんだか」とか言われるし、女友達はいても今までモテたこともない。 唯一、昔っから名前だけは可愛いね、なーんて嬉しくねぇっつの。 「なぁ、ちーちゃん」 「…てめークソが、ちゃん付けすんじゃねぇ」 河野の呼び掛けに突っ伏してた顔を上げて睨んでやった。 「ちひろちゃんてばこわい~。まぁまぁそんな怒らずにさぁ、話ぐらいなら聞くから」 「…本気に受け取らないくせに」 「拗ねんなって。なんかお前のその必死さで段々ほんとなのかなーって思えてきたから!」 ニヘラと笑った河野を殴りたくなった。 人事だと思ってヘラヘラしやがって!悪いがこっちは本気で悩んでんだぞ。 「取りあえず聞いてくれんならその笑い顔やめろ、ムカツクから」 「わーった!真面目に聞きます。…で?」 で…って、何か改めて言うとなると何から言ったらいいんだか…。 とにかく最近の違和感から話し始めよう。
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