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プロローグ
†
夜の静寂、闇の静寂、そして死の静寂。
夜の、闇の、死の中心に、一人の少女が立っていた。
十代半ばほどで、淡い茶色の髪をした可愛らしい少女である。
彼女の周りは一面が血の海で、そこには臓器や手足という魚が、死して浮かんでいた。
少女は泣いていた。
家族を失い、友人を失い、隣人を失い、そして村までも失った。
少女には何もなかった。
たったの一夜にして、全てが生命を失っていた。
少女が夜中に目が覚め、温かいミルクを飲もうと、下へ下りると、家族全員がバラバラになって死んでいた。
カラカラになってミイラのように死んでいた兄の姿もあった。
瞬間少女は吐いた。
そして助けを求めようと家を出ると、そこは死の村と化していた。
家という家は血で染まり、至る所には人の臓器やバラバラにされたパーツが落ちていたのである。
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