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ーーー・・・。
期待。
それは、とうに忘れてしまった【モノ】だった。何を期待したとしても、いつも自分の手から・・・こぼれ落ちてしまう。
その度に泣き、叫び、痛むのは辛かった。
だからこそ優は期待をしないように・・・忘れるようにしていた。
しかし、頭では理解していても心は何処か期待していたのだろう。
最後に春人に会って、早2日。
春人は公園に現れなくなった。
・・・また・・・捨てられちゃった。
優は返すはずだった武骨なお弁当箱を握りしめながら、今日も夜の公園で1人ベンチに座る。
もう春人はここには来ない。
そもそも、自分にかまうメリットが彼には無いのだ。
そう理解していても・・・優の足は自然と公園のベンチに向かってしまう。
もしかしたら今日は来るかも知れない。
そんな淡い期待を心の何処かで感じながら・・・。
「君?何をしているんだい?」
・・・突如、声を掛けられ顔を上げる。そこには、綺麗な顔立ちの青年が笑っていた。
「こんな夜中に・・・行く場所がないの?」
「・・・うん。」
青年はとても優しく微笑んでいた。
優しい声、優しい態度・・・しかし、優にはこの青年が恐ろしくて仕方がなかった。
何かをされた訳ではないのに・・・自然と身体が震えた。
そして青年の瞳に見つめられると、芯まで冷えきってしまうような・・・死を受け入れてしまいそうな・・・。
優は直感する。
ああ・・・私は死んじゃうんだな。
・・・と。
青年は優の手を優しく掴むと「じゃあ、僕が幸せな場所に連れていってあげる。」と微笑んだ。
「・・・。」
・・・お弁当箱・・・返したかったな。
優は小さく頷くと、ゆっくり立ち上がろうとした。
まさにその時である。
「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ゛!!」
けたたましい叫び声と共に春人が、その青年に向かって拳を振り下ろした。
青年は「あ?」と小さく声を上げると、春人の拳をギリギリで避ける。
「・・・何?君。」
「あ?てめぇが何だ?こら?」
「いや、いや、あはは。え?お兄さん?僕は何もしてないよ?ただ、その子に・・・。」
「うるせぇ。てめぇ・・・何かムカつくな・・・ぶっ殺す。」
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