プロローグ

7/8
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/27ページ
 大和の眼前へと迫った白い巨人は、不意に襲いかかる。肩部の大型スラスターを噴射し、勢い良く大和に組み付いた。  それを槍の柄でしかと受け止める『type-C.G.』。そのまま押し比べが始まり、数刻いがみ合う両者。  サイクロプスを思わせる青い単眼が光る顔は後頭部が細長くせりだしており、その大型の肩部と比べて随分と小さい。腕は『type-C.G.』のモノより一回り程度太く、膝関節部くらいまではあろうかという程長い。人体で言うと肘にあたる部分から、細い剣状の物が突き出しているところ等はその独特のフォルムと相まって『type-C.G.』と比べ、見る者を威圧するデザインとなっている様だ。 ――だからと言って。  大和は声には出さずにそう呟いた。戦闘力に外見は関係ない、過去にも幾度か試作機の排除に当たったが、姿形は屈強をイメージさせるものが多かった。この『type-C.G.』とて例外じゃない。  更にその経験が、半重力の月面で組み合った場合の事の運び方というものを大和に理解させていた。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!