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三回目の昼休み時間に屋上に行き、来る途中に買ったイチゴ牛乳にストローを刺して飲みながら街並みを眺めていた。
俺はたまにこうやって屋上で何かを飲みながら街並みを見渡すのが好きなのである。
「そろそろ戻らないと間に合わないかもな」
授業があるのでそろそろ戻ろうと思ったとき、後ろから扉が開く音がした。
扉が開かれ出てきたのは柊だった。屋上に人が来るのは珍しいので少し驚いている。
「ん? あれ、鷲崎どうしたのこんなところで?」
こちらに気づいた柊が話し掛けてきた。
「それはこっちの台詞だ。柊こそどうしたんだ?」
質問を質問で返すのはいけないような気がしたが不思議に感じたので聞いてみた。
「鷲崎が教室にいないから探してたのよ」
「俺を? どうしたんだ?」
「昨日はありがとう。まさか本当に手伝ってくれるとは思っていなくて嬉しかった」
「いや、お礼はもういいよ。それに俺も嬉しかったし」
柊はどうして? という顔をしていた。
「だって昨日、柊に『頼れる男の友達は鷲崎しかいない』って言われたからさ、なんか純粋に嬉しかったんだよ」
「そ、それのどこが嬉しいのよ。私の友達がいないのが嬉しいの?」
照れているのか少し頬が赤かった。
「違うよ。柊に頼られたのが嬉しくてさ、頼られているなーって思ったらそれに答えなくちゃなーって思ったんだよ」
「バ、バカじゃないの? そんなに私に頼られるのが嬉しいならもっと頼れる人間になりなさいよ!」
そう叫んだ柊はさっきの比じゃないほど顔が燃えていた。
「そうするよ。授業だし戻ろうぜ?」
「え? あ、うん行きましょう」
一歩後ろを柊が付いてきながら教室に向かった。
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